ソーラー税理士に聞いた。個人と法人、どちらで太陽光を運用するべき?
前回のコラムにご登場いただいてから約半年。ソーラー税理士・鵜之沢さんに、今回は当社(イデアスタイル)のお客様からお問い合わせが多い、個人運用と法人運用のメリット・デメリットについて聞いてみました。
税理士法人ASC/株式会社エーエスシー
税理士 鵜之沢 巧
節税対策の提案材料として太陽光発電システムを扱っていたが、その高い投資利回りに注目し、2013年から自身も太陽光オーナーに。現在は個人として10基を保有。ソーラー税理士として実体験を踏まえながら、減価償却や消費税還付等の太陽光発電投資を有利に進めるためのアドバイスを行っている。
課税売上高1000万円が一つの分岐点
− 何基目から、法人化を考えたらいいですか?
いきなりストレートなご質問、ありがとうございます(笑)。
その問にしっかり答えると、個人の状況と考え方によって異なります。となりますが、「一般的に」という言葉を入れてお答えするなら、4基目からは法人化を視野に入れた方がいいと思います。
逆に言ってしまうと、1~3基であれば、個人で持っていても税制的なデメリットは発生しないと思います。
ただし、ここで言う1基は、低圧太陽光発電所で年間売電収入が200~250万円程度のものを指してお話しさせていただきます。本来、税金は、何基という数が大事ではなく、収入規模に対して変化してきますので。
− 4基目からは、どんなことを意識すればいいのでしょうか?
第一に意識するのは、1000万円の壁。課税対象となる売上高が1000万円を超えてしまうと課税事業者となり、8%の消費税を納めなければいけません。最低でも80万円。太陽光投資は基本的にFIT法が適応される20年間で考えますから、毎年消費税を払うとなると大きな金額になります。4基目の発電所保有で、1000万円を超えてしまうかどうかは注意したいところです。
また、1~2基でしたら軽い投資なのかもしれませんが、3基目の保有を考える人となると、本格的に太陽光投資を事業として捉えはじめている可能性が高いと思います。
将来的に、4基、5基、6基と増やして行く可能性があるのであれば、早い段階での法人化をオススメします。
− では、具体的な法人化のメリットを教えてください
法人化のメリット:融資を引き出しやすくなる
まず、太陽光の発展的な事業性を考えた際に、必要不可欠なのが融資。個人資金ではどうしても限界があります。
これも個人の状況に左右されますが、一般的に個人事業主よりも法人の方が、金融機関から融資を受けやすいと言えます。
社会的信頼度の差もありますが、明確に分かりやすい点では、決算書などの書類が充実しているところでしょう。個人事業主と比べて法人は何倍もの書類作成が必要になり、それだけ金融機関にとっては判断材料を得られるわけです。
早期に法人で運用すれば、その分実績が多く積み重なりますから、融資には有利に働くと考えられます。これは私のお客様だけでなく、私自身の実体験を通して感じていることでもあります。
法人化のメリット:税率が低く、経費の枠が大きい
一般的な中小企業で400万円以上800万円以下の課税所得の場合、法人であれば約23%の税金負担。最高でも約34%ですから、単純に課税所得が増えてきた場合には個人事業主よりも、法人の方が税率が低いというメリットが出ます。
さらに所得を調整できる経費の柔軟性も、法人の方が格段に広がります。
例えば、都内に賃貸でお住いの方なら、法人契約で社宅扱いにしたり。奥様を代表にして法人を設立し、役員報酬を活用しながら節税していくというテクニックも。他にも専門的な節税方法をたくさん披露することもできますが、これ以上は私の本業ということで、ぜひ事務所の方にご相談をお願いします(笑)。
法人であれば、想像以上に経費処理が可能であることは確か。年収2000万円、3000万円といった人は、かなり節税効果が期待できると思います。
− 反対に、法人化する際のデメリットはありますか?
法人化のデメリット:逃れられないランニングコストが発生する
必ず発生するランニングコストとしては、法人住民税(均等割り)。これはたとえ利益が出ていなくても、法人が存在するだけで発生します。資本金や従業員数によって変化してきますが、東京23区・資本金1000万円以下・従業員数50名以下であれば、年額7万円です。
さらに事業税。通常は利益が発生したら課税されるのですが、太陽光発電事業は少し特殊で、売電収入に対して1.3%ほど課税されます。仮に年間200万円の売電収入ですと、2万6000円くらいになります。
また会社を設立するとなると、確定申告書類の作成など、たいていの場合、私たちのような顧問税理士が必要です。一概には言えませんが、顧問料なども含めると年間30万円ほどのランニングコストが発生します。
太陽光発電所を何基保有しているかにもよりますが、概算で年間50万円程度のランニングコストは必要となるでしょう。
法人化のデメリット:会社に副業がバレるリスクがある
副業OKという会社は増えてきていますし、副業禁止規定は解除の流れになっていくと思いますが、会社設立となれば、勤め先に副業を知られるリスクは増えます。
役員報酬を受け取らずに運用したり、代表を奥様にするなどのリスクを最小限で留めるテクニックはありますが、どうしても登記簿謄本に載りますので、執拗に調べられたら、バレてしまいますね(笑)。
− ありがとうございます。大まかにまとめると、個人運用では1000万円の壁を意識して、事業の発展性を考えるなら、早期から法人運用がお勧めということですね!
− 最後に、当社(イデアスタイル)のアピールポイントを一つだけお願いします。
最後に、きましたね(笑)。
私自身、現在太陽光発電所を10基所有していますが、そのうち8基がイデアスタイルさん。これが何よりのアピール材料でしょう。
イデアスタイルさんで購入できると、正直なところ、ラクなんです。利回りの良い分譲案件をしっかり建設・施工してくれて、定期的なメンテナンス報告もありますし、私は売電量だけ確認すればいい状態です。
新たに信頼できる業者を探せないこともないと思いますが、そんなリスクを冒してまでパワーをかける必要がありません。顧問税理士を努めていることもあって、会社の健全性も手に取るように知っています。
現在、私の発電所の合計は700kWほど。あと300kWプラスして、1MWまで頑張りたいので、当然、あと3基をイデアスタイルさんで考えています。
− ソーラー税理士 鵜之沢さん、貴重なお話をありがとうございました!
運営会社 : 株式会社 イデアスタイル