あなたが検討中の低圧太陽光物件、系統連系は本当に大丈夫?
改正FIT法の施行で、40万件以上の認定失効案件が出るかも!
2017年4月1日、ついに改正FIT法が施行。業界内で注目されているのは、どれくらいの件数が認定失効になるかです。2012年のFIT法開始から約5年、産業用(非住宅)太陽光発電の未稼働案件の整理は大きな課題となっていました。
諸事情あって稼動に至らない案件ばかりでしょうが、40円や36円などの買取価格が高い時期に権利だけ取得し、設備価格が落ちてきた今、事業を開始すれば利益は格段に大きく、不公平という声が上がっているのも事実です。
資源エネルギー庁の資料によれば、2016年11月末時点で、FIT後に認定された容量が約75GWに対して、実際に運転を開始しているのは約27GW。45万件以上が未稼動の状況です。
このような未稼動案件の発生を防ぐためにも、改正FIT法によって新認定制度へ移行。これまでの「設備認定」から、「事業計画認定」に変更となりました。つまり、「事業実施の可能性が低い案件に対しては認定しませんよ」ということ。
さらに、認定取得から運転開始までは3年以内というルールも追加。期限を超えた場合には、認定失効となります。
認定失効数は4月中に公表予定
改正FIT法によって、既存の太陽光システムがどれくらい認定失効されるかは、4月中には経済産業省から発表がありそうです。
※2017年4月24日追記※
経済産業省の4月21日の発表によると、認定失効見込みの暫定推計値は、45.6万件/2766万kWとのことです。
今後は、より慎重に物事を進めていかないと、系統連系が難しくなると思います。
電力会社との事前協議が今以上に必要になる
電力会社との「接続契約の締結」が要件化
上記の図のように、新制度では「認定取得」が接続契約の締結後に変更。従来の「電力需給契約」が、「接続契約」と「特定契約」の2つに分かれました。それぞれの意味合いは、次の通りです(東京電力パワーグリッドHPより引用)。
接続契約とは・・・
当社(送配電事業者)が維持および運用する電力系統との接続に関する契約。特定契約とは・・・
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に定める再生可能エネルギー電気の発電者による供給および当社による調達にかかる契約。接続契約までの対応は地域で異なる。事前協議が重要さを増す
そもそも接続は義務です。電気事業法に基づいて、全電源に対してオープンアクセス義務が定められています。しかし現実的には、電力系統の空き容量がないであったり、過大な工事負担金の請求など、実質的な接続不可能となる事態があります。そして今後、接続契約はさらに厳しさを増すでしょう。
東京電力管内であれば、東京電力パワーグリッドのHP「当社における系統情報について」で、各エリアにおける系統の空容量を公表していますが、空き容量がないエリアが多数みられます。
既に茨城県にいたっては、以下のエリアにおいて、系統連系が平成33年度以降になる予定という通達もありました。
<鹿嶋市>
大船津、和、宮中、須賀、棚木、田野辺、田谷、津賀、爪木、中、奈良毛、沼尾、林、山之上、厨1丁目、厨2丁目、厨3丁目、厨4丁目、厨5丁目、緑ヶ丘1丁目、緑ヶ丘2丁目、緑ヶ丘3丁目、緑ヶ丘4丁目、青塚、明石、荒井、下津、荒野、小宮作、小山、清水、神向寺、大小志崎、武井、角折、浜津賀、宮津台、猿田、山城1丁目、宮下4丁目、武井釜、志崎<行方市>
青沼、宇崎、岡、蔵川、白浜<鉾田市>
上幡木<神栖市>
太田、須田、砂山、矢田部、柳川、若松中央1丁目、若松中央2丁目、若松中央3丁目、若松中央4丁目、若松中央5丁目、太田新町1丁目、太田新町2丁目、太田新町3丁目、太田新町4丁目、太田新町5丁目、日川、横瀬上記のエリア外であれば、現時点では大丈夫ですので、ご安心ください。
<電力会社とのやりとりの流れ>
1. 設計事前協議
2. 発電量調整供給契約申込(接続供給申込)・需要側契約有無確認
3. 技術協議・連系検討
4. 設計・用地交渉接続契約までに、上記のような流れで電力会社とのやりとりが進んでいきますが、最初の「設計事前協議」がとても重要になってきます。この項目は、必要に応じて行うことになっているため、業者の判断で省略できる工程です。「実はあの物件、連系ができなくなりました・・・」という、よく聞く太陽光の契約トラブルは、この事前協議が足らないことが大きな要因だと思います。
分割案件の禁止
改正FIT法により、認定基準も厳しくなりました。
その一つが、低圧敷地分割の禁止。つまり、広い敷地内に複数の低圧太陽光案件を分割して設置することですが、実は分割自体は平成26年度から禁止となっていたのですが、実際は厳格な取り締まりにはなっていませんでした。
しかし今回の法整備に伴い、分割案件は完全にNG。現在、隣接物件をご検討の方は注意が必要です。
他にも、多数の審査基準が新たに設けられているため、新制度の運用が落ち着くまではケースバイケースでの適切な判断が求められます。
まとめ
新制度の移行に伴い、WEB申請もスタートしましたが、このような新たな枠組みの中でも適切な対応が取れる業者選びが重要です。
既に懇意にしている業者であれば安心ですが、特に初めて太陽光発電システムに投資される方は注意を払いましょう。業者選びを間違えば、せっかく購入した物件が予定通りに系統連系できないという自体になりかねません。
投資家としてできることは、自分の物件が系統連系に向けてどの状況にあるのかを、業者に確認すること。認定取得までは、定期的なチェックをおすすめします。
運営会社 : 株式会社 イデアスタイル