太陽光発電所の保守・メンテナンス現場に密着。リアルな現場をレポート
改正FIT法が施行され、太陽光発電所の保守・メンテナンスが必須となりました。太陽光発電は最低でも20年間継続する事業だからこそ、保守・メンテナンスの必要性に関して、もう一度記事にしたいと思います。
今回は実際の作業現場に足を運んで、イデアスタイルの滝田に話を聞きました。
※本記事の取材・ライティングは、社外の人間が担当しています。
夏場の草刈りは、システムの安全稼働のためにも手は抜けない
現場を訪れたのは、9月末。
写真左下から右斜め上に伸びている草の下に、実際は白いフェンスがあるのですが、その存在を確認できないほど蔦が成長しています。
太陽光パネルの下には防草シートが敷かれているのですが、わずかな隙間から雑草が力強く伸びていました。
安全に継続的なシステム運営を考えれば、放置することはできない状態です。
配線系統は、数値の異常がなくても確認すべき
− 実際の保守・メンテナンスでは、具体的にはどんな作業を実施していますか?
作業を大きく分ければ2つ。
電気系統を中心としたシステムチェックと、除草です。今日は4名体制ですから、1名がシステム担当、残りの3名が除草担当になります。
電気系統担当は、メインブレーカーの点検からはじめ、続いてパワコンをチェック。
ちなみにイデアスタイルでは、作業終了後にお客様に活動報告書を提出していますので、正常稼働している状態をしっかり撮影しています。
数値に異常を確認すれば、すぐに問題箇所を特定し対応に当たります。
− 電気系統のトラブルを発見することは多いですか?
現状では、殆どありません。
ただ、ゼロではないですからチェックは怠れません。たとえパワコンの数値に異常がなくても、コネクタがしっかり繋がっているかなどの配線確認は重要です。
トラブルを未然に防ぐためにも、機械の数値だけで判断するのではなく、システムが正常稼働している裏付け確認を、私たち作業者が実施するべきと考えています。
ちなみに太陽光パネルに関しては、全スタッフがしっかり目視を行い、大きな汚れが付着している場合にはしっかり対応しています。
除草は、体力勝負でありながら、周囲に配慮する余裕も必要
− 次に除草についてですが、まずどんな道具を使用しているのか教えてください
通常はこれらの道具を使用しています。
あえて専門的な道具をあげるとすれば、刈払機でしょうか。
丸い刃が付いたものと、先にナイロンコードが2本付いているもの。必ず、この2種類を用意しています。
刃が付いた方は、見たことがあると思いますが、大雑把に刈る目的で使用します。
ただ、鋭利な刃が付いた刈払機ですと、地面やフェンスなどの障害物の近くは刈ることができません。
そこでナイロンコードが付いた刈払機が必要になってきます。
一般的にテニスラケットやバドミントンのガット部分(球が当たる部分)がナイロン製ですので、あの柔らかい紐が2本高速回転しているのをイメージしてください。
コンクリートやフェンスを傷つけることはありませんし、防草シートに穴を開けてしまう心配も不要です。雑草だけ刈ることができる、優れものです。
− これらの刈払機は、誰にでも使用できますか?
物理的には使用可能ですが、飛び石には絶対に注意しなければいけません。
刈払機は主に草刈りに使用しますが、草の中にある小石が飛ぶことがあります。
周囲に人がいないことを確認することはもちろん、道路沿いでの使用は自動車に当たる危険性があるので要注意。飛び石で自動車の窓ガラスが割れた事例もよく聞きます。
当然、作業中にヘルメットを着用することは言うまでもありません。
刈払機に限ったことではありませんが、機械を使って作業を行っていると、つい没頭してしまいがち。だからこそ作業中にお互い声を掛け合うことが、トラブルなく作業を効率的に進めていく上で重要です。
− 他にはどんな道具を使用していますか?
他には、鎌や熊手、それと軍手。フェンスに絡まった蔦をとったり、細かい部分の除草は手作業でやらなくてはいけません。
また、想像されている以上に、刈り取った雑草をゴミ袋に入れる作業にはパワーと時間がかかります。
低圧一基の保守・メンテナンスに、夏場は4時間かかることも
− 1物件にかかる保守・メンテナンスの時間を教えてください
立地条件や季節によってバラツキがあるので一概には言えませんが、やはり夏がピーク。3~4人で、3時間~4時間程度はかかっていると思います。ちなみに今日は3時間半になりました。
お客様に感動してもらえるくらいの、保守・メンテナンスを
− 最後に、保守・メンテナンスの際に心掛けていることを教えてください
何より、安全第一です。自分自身はもちろん、周囲も含めて怪我がないように、常に注意を払っています。
作業面で言えば、次回のメンテナンス時期を考慮しながら、シート補修や除草剤散布作業には力を入れていますね。雑草が伸びるであろう場所に先手を打って対策を施しておくことで、次にメンテナンスに入った作業者の負荷を軽減することができます。
また発電所の境界は特に注意して除草します。発電所から隣の土地へ雑草が伸びている場合も、その逆の場合もありますが、隣接地の地主様にご迷惑がかからない対応を心掛けています。
地域住民の方への配慮は最優先事項。道路沿いの美化も徹底的に行っています。
特に普段から自分の土地を綺麗にされている住民の方であれば、近くに手入れが行き届いていない土地があれば、快く思わないでしょう。太陽光発電に対して、負のイメージを持たれてしまう可能性もあります。
当社としては地球の未来のためにも太陽光発電がもっと広く普及していくことを願っていますし、これから太陽光オーナーになる方のためにも、クリーンで安全な太陽光発電所を維持管理していくことが重要だと考えています。
保守・メンテナンス作業で発電所に入るのは一日ですが、大きな変化を見て取れますから仕事のやりがいはひとしお。全て終わって最後に発電所を見たとき、Before – After のあまりの違いに自分でも感動する時があります。
毎回、きっとお客様も喜んでくれるだろうと、作業終了後は胸を張って現場を離れていますが、今後も継続してクオリティの高い保守・メンテナンスを実施したい。自分がこの物件のオーナーだったらという気持ちを持ち続け、感動品質でサービスをご提供していきます。
− お話ありがとうございました。
最後に、一番最初に撮影した場所の Before – After を見てください。
フェンス手前は少し斜面になっているのですが、こんな風に作業に入ってました。
そして最終的にはこんなに綺麗に!
最初と比べて見ると、まるで別空間です。
最終的な仕上げとして、除草剤の散布
錆止めスプレー
防草シートの補修
掃き掃除
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はリアルな現場を知っていただきたかったため、写真を多めに使用しました。
ちなみに、この発電所で刈り取った雑草はこんなにも。
運営会社 : 株式会社 イデアスタイル